INTERVIEW

東京農工大学大学院 様

チームの概念が変わる!AI×チームビルディングで育むリーダーシップとコミュニケーション力を兼ね備えた理系人材

チームビルディング with AI The Isolated VIllageを導入いただいた東京農工大学の髙橋様にインタビューをさせていただきました。

導入業界
国立大学法人東京農工大学大学院工学府産業組織専攻
参加人数
13名
導入サービス
チームビルディング with AI The Isolated Village
ご担当者様
工学府産業技術専攻 教授 髙橋 浩一様
インタビュアー
株式会社Teamie 代表取締役社長 納土 哲也

プロジェクトベースドラーニングで、コミュニケーション能力とチーム形成力の高い理系人材を育てる

チームビルディングを授業に取り入れた背景とは?

(納土)今回、チームビルディングを授業に取り入れた背景について教えていただけますか?
(髙橋様)本学の専門職大学院(技術経営)では、「知識創造組織論」という授業を開講しています。これは、より実践的な学びを提供することを目的とし、プロジェクトベースドラーニング(※1) を基盤に、異なる研究室に所属する学生たちがチームを組み、ビジネスプランを作成するというものです。

ただし、ビジネスプランの作成自体が最終目標ではありません。本授業では、野中郁次郎先生のSECIモデル(※2)を活用しながらプロジェクトを進め、
「チーム・組織とは何か?」
「どのようにリーダーシップを発揮し、プロジェクトを進行するのか?」
といった、ビジネス創造に欠かせないスキルを習得することも重要視しています。

授業の中でプロジェクトがある程度進んだ段階で、改めて「チームビルディングとは何か?」を振り返る機会を設けたいと考え、今回のチームビルディングを導入しました。

なぜ、授業で「チーム」を重要視しているのか?

(納土)なぜ、授業でそこまで“チーム”を重要視されているのですか?

(髙橋様)修士課程の学生たちは、それぞれ異なる研究テーマに取り組んでいます。普段は研究室にこもり、自分の研究に没頭するため、他の学生とコミュニケーションを取る機会が極端に少ないのが現状です。

また、理系出身の人材は、社会に出た後に「コミュニケーションの壁」に直面するケースが多く見られます。そのため、プロジェクトベースドラーニングの形式でチームでビジネスプランを考えるというプロセスを通じて、自然とコミュニケーションを取る力を養う機会を提供したいと考えました。

プロジェクトを通じて実感する「コミュニケーションの壁」

(納土)実践的なチーム活動を通じて、コミュニケーション能力を身につけてほしいということですね。

(髙橋様)そうですね。実際にプロジェクトを進めてみると、ほとんどの学生が「コミュニケーションの課題」に直面します。
専門分野が異なるため、「自分の専門を活かして議論をリードする」ことが難しいんです。すると、自然とチームの状況を見極め、相手に応じたコミュニケーションを取らなければプロジェクトが進まないということに気づきます。

(納土)自分の専門知識だけではプロジェクトが前に進まない、というのが重要なポイントですね。

補足:用語解説

※1 プロジェクトベースドラーニング(Project-Based Learning, PBL)
→ 実際の課題や問題解決を通じて、主体的な学習とスキルの習得を促す教育手法。

※2 SECIモデル
→ 知識創造のプロセスを共同化(Socialization)」「表出化(Externalization)」「連結化(Combination)」「内面化(Internalization)」の4つのステップで説明する理論。

AIを活用したチームビルディングゲームで、実際の活動の学びを深める

チームビルディングを強化するためのAIゲーム導入の背景

(納土)今回、なぜ弊社にご依頼いただけたのでしょうか?

(髙橋様)プロジェクトベースドラーニングでは、学生たちはビジネスプランを考えるプロセスを経験します。しかし、それだけでは「チーム形成とは何か?」を深く振り返る機会が十分に得られないと感じていました。

また、これまでのプロジェクト活動を振り返るだけでは、得られる学びが「実体験の範囲内にとどまる」という懸念もありました。

そこで、メタファー(※3)を活用することで、より多角的な視点で学びを深められるのではないかと考えました。貴社のAIゲームは、このメタファー的な体験を提供できると思い、依頼をさせていただきました。

メタファー体験がもたらす学びの拡張

(納土)まさに、それがメタファー体験の効果ですね。

(髙橋様)そうですね。メタファーを活用することで、実際のプロジェクトとは異なる環境での活動を経験し、それを振り返ることで現実のプロジェクトに応用できる学びを得ることができます。

特に、ストーリー性のある状況設定のもとで活動し、そこから振り返ることで、通常のOJTでは気づかないような学びが生まれることに価値があると考えています。
また、このような手法によって、学びを再現可能で普遍的な知識に落とし込める点も大きな魅力です。

AIを活用したチームビルディングを選んだ理由

(納土)では、なぜAIを活用したチームビルディングを選ばれたのでしょうか?

(髙橋様)2024年、生成AIは飛躍的に普及し、社会全体でその活用が加速しています。私たちも、学生たちにプロジェクトの中で生成AIを活用することを推奨しています。

さらに、2025年は「AIとともに働く」というテーマを掲げ、学生たちにAIへの意識を変えてもらいたいと考えています。そのため、貴社の「AIもチームメンバーとして共に働く」というコンセプトが、私たちの目的と一致していたことが、今回の依頼の決め手となりました。

補足:用語解説

※3 メタファー
→ ある物事を別のものに例えて表現し、新たな視点や気づきを生み出す手法。チームビルディングでは、現実とは異なる状況を体験することで、普遍的な学びを得ることができる。

AIチームビルディングの価値とは?

チームビルディング、リーダーシップ、そして生成AIに対する意識変革を促す

(納土)実際に導入されてみて、いかがでしたか?

(髙橋様)参加者の感想(※4)を聞いたところ、まさに狙い通りの学びを提供できたと感じています。

特に、最終的に「全員・全チームの協力がなければゴールに到達できない」ことに気づいた瞬間から、参加者の意識と行動が大きく変わりました。

また、「他人の知恵をどれだけ活用できるか」や、「AIと積極的にコラボレーションすることの価値」にも気づいてもらえたと思います。

実際、参加者からは「AIをチームの一員として考えることの重要性を学びました」という声がありました。生成AIを単なる検索ツールや画像作成ツールではなく、「チームの一員として活用できる存在」と認識するようになったことは、大きな収穫でした。

AIを最大限に活用するために必要なのは、意識の変革

(納土)最終的に、生成AIを最大限に活用できるかどうかは、「AIもチームメンバーの一員である」という意識の変革から始まるという素晴らしい事例ですね。

実際の参加者の声(※4)

「ゲーム感覚で楽しくチームビルディングを学べる、非常に有意義な講義でした。」

「チーム間で競い合うのではなく、一緒に目標を達成する仲間として協力することの大切さを学びました。」

「最初は少人数のチームで進め、最後に全員で取り組むことで、パフォーマンスを最大化できることを実感しました。今後の就職活動や社会人生活にも活かせると思います。」

「AIをチームの一員として考えることの重要性を学びました。これまでAIは画像生成などに使うものだと思っていましたが、これからはチームのアイデアに意見をもらうなど、議論の場でも活用していきたいです。」

<チーム間でコラボレーションが起きた瞬間>

チームのパラダイムを変える!チームビルディング with AIの価値

AIチームビルディングはどのような人・組織におすすめか?

(納土)どのような人や組織におすすめですか?

(髙橋様)今の時代に求められるチームのあり方やリーダーシップを体験したい、または部下やメンバーに体験させたいと考えている人や組織が適しているように思います。

特に、これからはアダプティブリーダーシップ(※5)が求められるのではないかと思います。フラットなチーム・組織を疑似体験し、学ぶ機会は⾮常に重要です。このプログラムは、そうした学びのきっかけになるのでは、と思います。

また、AIがチームの対話に関与することで、チーム内に創発をもたらすことに気づくという点も⼤きな価値です。その新たな可能性を実感し、実践に活かすためにも、AIチームビルディングは有効だと思います。

これからの時代、「チーム」をどう定義するかが鍵

(納土)つまり、これからの時代は「チーム」という概念をどの範囲で捉えるかが鍵になってくるということですね。

(髙橋様)そうですね。「自分が所属するチーム」だけを意識するのか、他のチームもリソースとして捉えるのか、さらにAIをチームの一員として考えられるのか。

この視点の違いによって、人と組織のパフォーマンスは大きく変わると思います。

(納土)本日は貴重なお話をありがとうございました!

補足:用語解説

※5 アダプティブリーダーシップ変化の激しい環境に適応しながら、組織やチームが直面する課題を解決し、持続的な成長を促すリーダーシップのスタイル。

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